愛誠病院 血管外科 静脈瘤センター

愛誠病院 血管外科 静脈瘤センターの特徴

●下肢静脈瘤の専門的な診療を中心に、血管外科診療を行っています。
●約30年の下肢静脈瘤診療の経験と歴史を踏まえて診察いたします。
●その他、深部静脈血栓症などの静脈疾患や、特殊な静脈瘤(再発性静脈瘤、陰部静脈瘤、先天性静脈瘤など)のご相談、閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患や大動脈瘤の経過観察なども対応いたします。
●下肢静脈瘤の日帰り手術が可能です。
●十分な診療時間をかけてお話を伺い、患者さんご自身が納得できる治療をご提供いたします。不要な手術はお勧めしません。
●下肢静脈瘤の治療に対する複数の専門医が勤務しております。
●下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施施設の認定を受けています。
●下肢静脈瘤血管内塞栓術(グルー治療)も行っています。
●外来、検査、日帰り手術など、全てを保険診療で対応いたします。
●検査が不要な経過観察は、遠隔診療でも対応可能です。
●内閣府から全国で2番目に指定された公益財団法人の病院です。患者さんに寄り添う医療を提供いたします。



      【下肢静脈瘤】とは
      【下肢静脈瘤】の検査について
      【下肢静脈瘤】の症状と治療の必要性について
      【下肢静脈瘤】の治療のいろいろ
      治療1.つらい症状を和らげる治療
      治療2.原因を根本的に治す根治手術
      治療3.ふくらんだコブをきれいにする追加治療
      診療時間のご案内
      ご予約・ご相談・お問い合わせ先
      交通のご案内
      愛誠病院 血管外科 静脈瘤センターのこれまでについて
      スタッフ紹介





【下肢静脈瘤】とは

下肢静脈瘤は、足の皮膚表面に近い静脈がふくらんだ病気です。

足の『静脈』は、足の先から心臓に向かって、重力に逆らいながらも血液を運んでいます。せっかく運んだ血液が足に戻ってこないように、『静脈』の中には『逆流防止の弁』が備わっています。

足に負担がかかって、この『逆流防止の弁』が壊れてしまうと、血液が逆流して足にたまり、皮膚表面に近い静脈がふくらんでしまいます。これが【下肢静脈瘤】です。

下肢静脈瘤は、立ち仕事の方や、長時間のデスクワークの方、女性(女性:男性=3:1)特に出産経験のある方に多くみられ、年齢を重ねるほど増えてきます。日本人の約9%(1000万人以上)にみられると言われており、両親に下肢静脈瘤があると、その子供にも起きやすいことも知られています。

下肢静脈瘤の多くは、皮膚の表面にコブのようにふくらんで見えている静脈瘤の部分と、実は見えていないけれど皮膚の近くに病気の原因になっている隠れた静脈瘤の部分があります。

ふくらんで見えている所だけでなく、隠れた原因の静脈瘤をきちんと見極めて、治療することで、下肢静脈瘤を完治させることができます。

隠れた原因の静脈瘤があるかどうか、また、どのように悪くなっているか、検査を受けないと正確には分かりません。気になる方は、一度、エコー検査を受けることをお勧めします。





【下肢静脈瘤】の検査について

下肢静脈瘤は、エコー(超音波)検査で診断します。

エコー検査は、全く痛くありません。

外来ですぐに行えて、その場で下肢静脈瘤の診断ができます。

診断結果をふまえて、最適な治療の方針をご相談します。


もしも手術を受ける方針となった場合は、健康状態が手術に差し障りがないかを調べるため、血液検査や心電図、レントゲンなどの検査を行います。

下肢静脈瘤とは別の病気(深部静脈血栓症や閉塞性動脈硬化症など)の可能性がある場合には、特殊な血液検査や、脈波検査、CT、MRI、造影レントゲン検査など、必要な検査を行います。





【下肢静脈瘤】の症状と手術の必要性について

つらい症状のない下肢静脈瘤は手術をする必要はありません。

網目状やくもの巣状に見える静脈瘤です。

つらい症状がなく、見た目を気にしなければ、手術をする必要はありません。

何らかのつらい症状がある場合には、見えない所に原因が隠れていることもありますので、一度は受診して検査を受けることをお勧めします。

見た目をきれいにするための、外来でできる注射の治療があります。




だるい、かゆい、つる、むくむ、痛むなどの症状がある場合は、手術を含めた治療を検討します。

皮膚表面にコブのように浮き出た静脈瘤です。

実は、見えていない所にも原因の静脈瘤が隠れていることがあります。エコー検査を受けることで、静脈瘤の正確な場所やかたちが分かり、適切な治療方法を選ぶことができます。

下肢静脈瘤に多い症状は、だるい、かゆい、つる、むくむ、コブが痛むなどです。

つらい症状がある場合には、手術も治療の選択肢に入ります。症状のつらさの程度やご希望に合わせて、治療方法を検討します。




皮膚が黒ずむ、皮膚炎がなかなか治らない、皮膚が硬くなるなどの変化があれば、多くの方に手術が必要です。

下肢静脈瘤が原因で、皮膚が乾燥し、黒ずんで、皮下脂肪が硬く変化して、皮膚炎(うっ滞性皮膚炎)を起こしています。

すでに下肢静脈瘤が進行している状態です。
コブ状にふくらんだ静脈瘤が、あまり目立たなくなってしまうこともあります。

原因となっている下肢静脈瘤に対して、手術を行うことを強くお勧めすることが多いです。




下肢静脈瘤による潰瘍(かいよう)がある場合は、手術が必要です。

長年の下肢静脈瘤による皮膚炎が原因で、足の皮膚にキズ(潰瘍)ができて広がっています。
ちょっとしたケガや掻きこわしなどから、どんどん大きくなってしまうことがあります。

潰瘍の状態をきちんと評価して、状態に合わせた適切な潰瘍の処置を行うことが重要です。

処置を行うだけではなかなか治りにくく、潰瘍を早く治すためには、原因となっている下肢静脈瘤に対する手術が必要です。





【下肢静脈瘤】の治療のいろいろ

大きく分けて、以下の3種類の治療を組み合わせて治療します。

1.つらい症状を和らげる治療
         『弾性ストッキング』
         『漢方薬など』
         『スキンケア・潰瘍の治療』

2.原因を根本的に治すための根治手術
         『血管内焼灼術(レーザー・ラジオ波)』
         『抜去切除術(ストリッピング術)』
         『血管内塞栓術(グルー治療)』

3.ふくらんだコブをきれいにするための追加治療
         『瘤切除術(スタブ・アバルジョン法)』
         『フォーム硬化療法』


下肢静脈瘤の治療方法は、上記のようにいろいろな方法があり、一つの治療ではありません。治療の選択肢が多いのは良いことでもありますが、果たしてどの治療方法を選べばいいのか迷ってしまうことにもつながります。

それぞれの利点と欠点をふまえて、患者さんひとりひとりの状態やご事情に合わせて、最適な治療の選択のお手伝いをさせていただきます。


下肢静脈瘤は、単独で急に命を落とすような病気ではありません。
しかし、放っておくと様々な症状を引き起こして、快適な日常生活の妨げとなることがあります。
足の症状で、気になることがありましたら、一度ご相談にいらしてください。





治療1.【下肢静脈瘤】のつらい症状を和らげる治療

『弾性ストッキング』
ふくらはぎを表面から圧迫して、足の静脈の流れをサポートします。
「圧迫療法」といいます。

足のだるさやむくみが解消され、足が軽くなります。
基本は、起きているときに着用します。
膝下のハイソックスタイプでも十分に効果があります。
予防的な使用は弱圧を、下肢静脈瘤があれば中圧以上を使います。

着用にはいくつかのコツがあります。不適切な使い方をすると、皮膚を傷めてしまうことがあります。圧迫療法が必要で、何らかの事情でストッキングがはけない場合には、弾性包帯を使用することもあります。
はきにくくてお困りの時は、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターや、血管外科医へご相談ください。上手にはくためのコツをお伝えします。


Q.
動物のキリンは、背が高くて立ちっぱなしなのに下肢静脈瘤にならないのはなぜでしょうか?

A.
それは、ぶ厚くて硬い皮膚が足を引き締めているからです。つまり、人間でいうと弾性ストッキングを履いている状態だからです。
(人間も生まれたときからずっと、弾性ストッキングをはいていれば、下肢静脈瘤にならないのかもしれませんね。)




『漢方薬など』
飲み薬で下肢静脈瘤は治りませんが、つらい症状を和らげることが期待できます。

お薬は、症状を和らげるのが目的です。症状の軽い下肢静脈瘤であれば、漢方薬などが有効なことがあります。
足のだるさ・むくみを軽くしたり、足のつり・痛みを減らしたり、クモの巣状の静脈瘤の見た目がうすくなったりすることが期待できます。

当院では、保険診療でエキス剤の漢方薬を処方いたします。




『スキンケア・潰瘍の治療』
下肢静脈瘤が進行して皮膚に変化がみられる場合は、皮膚炎や潰瘍に対する専門的な治療を並行して行います。

長い間、下肢静脈瘤を患っていると、湿疹や皮膚炎が起きることがあります。皮膚に痒みがでたり、乾燥してカサカサしたり、シミのような黒ずみ(色素沈着)が見られるようになります。

足の皮膚を清潔に保ち、保湿剤などで乾燥を防ぎます。皮膚の症状に合わせて外用薬(ぬり薬)を選んで治療します。

しかし、下肢静脈瘤が原因になっているとなかなか治りません。根本的に治すには、きちんと下肢静脈瘤を診断して、治療をすることが必要です。



また、皮膚炎が治りにくい状態が続くと、足の皮膚にキズ(潰瘍)ができて広がってしまうことがあります。

単純に外用薬をつけるだけではとても治りにくく、きちんとした診断をして、状態に合わせた適切な治療を行うことが必要です。

潰瘍の治療の基本は、適切なキズの処置と、弾性包帯(または弾性ストッキング)による圧迫療法です。



キズの処置は、シャワーなどで十分によく洗浄することと、キズを乾燥させないようにするシートやフィルムをあてて新しく皮膚が再生するのを促す『湿潤療法』を基本にして行います。
特殊な外用薬は不要なことが多いですが、状況に合わせて最適な外用薬を選択します。

圧迫療法は、キズにスポンジなどのパットをあてて、弾性包帯(または弾性ストッキング)を用いて圧迫します。

まずは、キズの処置と圧迫療法を開始して治療を進めつつ、根本的な原因になっている下肢静脈瘤に対する手術を検討します。






治療2.【下肢静脈瘤】の原因を根本的に治すための根治手術

『血管内焼灼術(レーザー・ラジオ波)』
体への負担や合併症が少ないため、レーザーまたはラジオ波(高周波)による血管内焼灼術(しょうしゃくじゅつ)が広く行われています。

エコー検査をしながら、病気の原因の静脈瘤の中にカテーテルを入れます。

静脈瘤の内側からレーザーを照射するか、ラジオ波(高周波)で熱を発生させて静脈瘤の壁を焼きます(血管に熱変性を起こさせます)。
そうすることで静脈瘤の中を閉じさせて(閉塞させて)、逆流を止める手術です。


カテーテル手術のため、手術のキズあとがほとんど残りません。

ふくらんだコブの静脈瘤は、後述する瘤切除(スタブ・アバルジョン法)で、追加切除することができます。


麻酔は、局所麻酔(薄めた局所麻酔・TLA麻酔)で行います。
手術中に眠くなる鎮静剤を使用することで、楽に手術を受けられます。

日帰り手術が可能です。

手術後は、一カ月程度、弾性ストッキングの着用をお勧めしています。

再発や合併症が無いことを確認するため、翌日・一週間後・一か月後・三か月後・半年後に通院をしていただいています。

血管内焼灼術は、抜去切除術(ストリッピング術)に比べると体への負担や合併症が少ないため、広く行われており、現在の主流の治療方法になっています。
血管内焼灼術のガイドラインに沿って手術ができるかどうか適切に検討しています。持病や合併症、静脈瘤の形状などにより、全ての方に行えるわけではありません。




『抜去切除術(ストリッピング術)』
古典的で確実な手術方法です。逆流のある原因の静脈瘤を抜き取ります。

1〜2cmのキズを1〜数か所つけて、逆流のある原因の静脈瘤に専用のワイヤー(ストリッパー)を通して、抜き取ります。



病気の静脈を抜き取ってしまうので、同じ血管での再発はゼロです。

この手術方法の歴史は古く、完成された確実な手術方法と言えます。

レーザーやグルー治療が向かない方でも手術を受けられます。

ふくらんだコブの静脈瘤は、後述する瘤切除(スタブ・アバルジョン法)で、追加切除することができます。


麻酔は、局所麻酔(薄めた局所麻酔)で行います。
手術中に眠くなる鎮静剤を使用することで、楽に手術を受けられます。
過去には、全身麻酔や腰椎麻酔(下半身麻酔)や全身麻酔を行った時代もありますが、現在はより安全に局所麻酔で行えます。

日帰り手術が可能です。

手術後は、一カ月程度、弾性ストッキングの着用をお勧めしています。

合併症が無いことを確認するため、一週間後と一か月後に通院をしていただいています。

欠点は、小さいながらも手術のキズあとができること、青あざが2週間程できて、レーザーよりは少し痛むことなどです。




『血管内塞栓術(グルー治療)』
日本では2020年から保険適応になった新しい治療です。

下肢静脈瘤専用の医療用接着剤(シアノアクリレート)を、カテーテルを用いて病気の原因の静脈瘤の中に注入して、血管の内側を接着して閉塞させる、全く新しい治療方法です。
欧米などのデータでは、ラジオ波血管内焼灼術と比べて、治療成績に差は見られませんでした。(日本での長期成績はまだありません。)

人工物である接着剤が体内に残るので、後にアレルギー反応などがおきる可能性が報告されています。

カテーテル手術のため、手術のキズあとがほとんど残りません。

ふくらんだコブの静脈瘤の部分は、基本的に切除しません。

麻酔は、カテーテルを挿入する一か所のみ局所麻酔をしますが、広範囲の麻酔は必要ありません。

日帰り手術が可能です。

手術後の弾性ストッキングの着用は任意です。弾性ストッキングを着けなくてもかまいません。

再発や合併症が無いことを確認するため、翌日・一週間後・一か月後・三か月後・半年後に通院をしていただいています。

レーザーやラジオ波による熱を加えることがなく、抜去によるキズや痛みもなく、多量の局所麻酔薬が不要であることが、この手術の利点です。

今後、グルー治療はレーザーやラジオ波による血管内焼灼術と並んで、主流の手術方法になると期待されています。

グルー治療の適応は、ガイドラインに沿って適切に検討しています。持病や合併症、静脈瘤の形状などにより、全ての方に行えるわけではありません。

当院でも、グルー治療を行っていますので、担当医師までご相談ください。





治療3.【下肢静脈瘤】のコブをきれいにするための追加治療

『瘤切除術(スタブ・アバルジョン法)』
根治手術と同時に、ふくらんでコブ状に目立つ静脈瘤を小さいキズできれいに取る追加治療です。

スタブ(stab)は、「とがったもので刺す」こと、
アバルジョン(avulsion)は、「引き抜く」ことです。

尖ったメスの先端で、1〜2mmの小さいキズをつけて、ふくらんで目立っていた静脈瘤を、引き抜いて切除する、追加の手術方法です。

血管内焼灼術(レーザー・ラジオ波)や、抜去切除術(ストリッピング術)と同時に、行うことができます。

血管内塞栓術(グルー治療)と同時には行いません。

キズは、とても小さいため、糸で縫い合わせる必要はなく、治癒するとほとんど目立たなくなっていきます。

一度の手術で、見た目もできるだけきれいにしたい方に向いています。




『フォーム硬化療法』
ふくらんでコブ状に目立つ静脈瘤に専用の硬化剤を注射して固め縮める治療です。

ポリドカノールという静脈瘤専用の硬化剤を空気と混ぜて、とても細かい泡状(フォーム状)にします。これを、ふくらんだ静脈瘤に直接注射します。
人為的に軽い血管の炎症を起こさせて血のりをつくり、静脈瘤を閉塞させる治療です。


原因となる隠れた静脈瘤の無い軽症の静脈瘤の方や、原因の静脈瘤を手術で治療した後にふくらんだコブが残った方、などが良い適応です。

注射した後に上手に圧迫をして、出来る限り血のりができる量を少なくするため、注射後、数日間は弾性包帯などで圧迫をします。

この治療は、外来の診察室で行えます。歩いて帰宅が可能です。
足に包帯を巻いて帰ることになりますので、当日、タイトなズボンでの来院は避けてください。





診療受付時間のご案内

※しっかりと丁寧な診療を心がけております。ご予約無しで受診できますが、ご予約の方が優先されますのでお待ち頂く事がございます。紹介状は必要ありません。

担当医
午前 堀口 定昭
午後 堀口 定昭  白土 裕之※
※午後の診療時間は15:00〜となります。
受付
時間
午前 8:30〜11:30
午後 12:00〜16:30 12:00〜16:30



ご予約・ご相談・お問い合わせ先

電 話 番 号  03-3961-5351
メ ー ル jyomyaku-ryu.reserve@aisei-byouin.or.jp



交通のご案内

詳しくは、こちらをご覧ください。
 

最寄り駅からのタクシー料金と所要時間
料 金
(予想)
所要時間
(予想)
板橋駅 600~700円程度 約5分
下板橋駅 600~700円程度 約5分
新板橋駅 600~700円程度 約5分
十条駅 600~700円程度 約5分
王子駅 700~800円程度 約10分




愛誠病院 血管外科 静脈瘤センターのこれまでについて

私たちは、1990年代から帝京大学医学部附属病院外科の血管外科チームとして、大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症などの動脈疾患の診療とともに、静脈疾患の専門的な診療を行って参りました。当時は、下肢静脈瘤という病気は、一般の方にあまり知られておらず、足の不調を抱えたまま人知れず困っている患者さんがとても多くいらっしゃいました。

そこで、下肢静脈瘤などの静脈疾患に関する専門医療を、より多くの患者さんに提供するため、2003年、帝京大学病院から歩いて行ける所にある愛誠病院に、「血管外科・静脈瘤センター」を立ち上げ、現在に至ります。


私たちのチームでは、本邦で最初の下肢静脈瘤のホームページを作り、また本邦で最初に大手出版社から下肢静脈瘤の本を上梓するなど、下肢静脈瘤の啓発に努めて診療を行ってきました。今では、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)は、一般診療医にも、世間的にも認知された病気になりました。

下肢静脈瘤の治療は、古典的に、病気の静脈を皮膚に2か所以上のキズをつけて抜き去る「ストリッピング術」が行われてきました。過去には、私たちのチームで、瘤状に膨らんだ血管を機械的に切除吸引する「Trivex治療」を導入したり、そけい部1か所の小さいキズでストリッピング術を行う「Invisi Grip」を早くから採用したりしてきました。(※Trivex治療は現在行っていません。) 大学病院と愛誠病院で日本一の手術数を記録した時期もあります。そんな歴史のある愛誠病院の静脈瘤センターです。

そして、病気の静脈をレーザーの熱によって閉塞させる「血管内レーザー焼灼術」が米国を中心に開発され、当院では本邦で保険収載される前から低料金で行ってきました。2011年に980nm半導体レーザーが、2014年に1470nm全周照射レーザーとラジオ波(高周波)焼灼術が保険収載され、多くの病院やクリニックで、下肢静脈瘤の診療・手術が行われるようになりました。当院でも「血管内焼灼術」の手術割合が飛躍的に増加しています。

現在、下肢静脈瘤の治療は、レーザーまたはラジオ波(高周波)による「血管内焼灼術」が主流になっています。2020年に医療用接着剤を使った新しい治療法「グルー治療」が保険収載されました。今後、下肢静脈瘤の治療の選択肢は、さらに広がっていきます。

当院では、これまでの8000例を超える下肢静脈瘤手術の経験と歴史を基に、新しい知見を取り入れ、それぞれの患者さんおひとりおひとりに、納得感のある最適な医療を提供できるよう、血管外科診療に邁進しています。

『古きもの必ずしもよきにあらず、
   新しきもの必ずしもよきにあらず、
      よきものがよきなり』





スタッフ紹介

川上 利光(理事長)
資格
●医学博士
●日本外科学会外科専門医
●下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施医
●日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
●社会医学系専門医・指導医
●人間ドック健診専門医・指導医
●産業医

白土 裕之
資格
●医学博士
●日本外科学会外科専門医
●日本脈管学会認定脈管専門医・指導医
●下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施医・指導医
●弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター
●日本消化器病学会認定消化器病専門医
●日本消化器外科学会認定登録医
●社会医学系専門医・指導医
●産業医

堀口 定昭
資格
●医学博士
●日本外科学会外科専門医
●日本脈管学会認定脈管専門医
●下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施医・指導医
●日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医

2016年 日本静脈学会 若手研究者賞 受賞
矢吹 志保
資格
●医学博士
●日本外科学会外科専門医
●日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

横尾 久美子
資格
●医学博士
●日本外科学会外科専門医